が、次の瞬間には恐ろしい混乱が勃発《ぼっぱつ》した。彼らは口々に叫び出した。

         二一

 ある者はこれを神罰だと云った。
「我らの不忠実を怒らせられ神が奇蹟《ふしぎ》を下されたのだ」
 またある者はこうも叫んだ。「泥棒が盗んだに相違ない。黄金《こがね》で作られた鎧冑《よろいかぶと》には莫大《ばくだい》な値打ちがあるからな。――城下の泥棒が盗んだのだ」
 またある者は次のように云った。
「白法師の所業《しわざ》に相違ない。我々の部落、我々の信仰を日頃から彼奴《きゃつ》は譏《そし》っていた。我々の神聖な神を穢《けが》し、我々の霊場を踏み躙《にじ》った者は彼奴《きゃつ》以外にある筈《はず》がない!」
「そうだそうだ」
 と群集は挙《こぞ》ってこの言葉に雷同した。
「白法師をひっ[#「ひっ」に傍点]とらえろ!」――「草を分けても探し出せ!」――「白法師を狩れ白法師を狩れ!」
 群集は興奮して境内を出た。祭りは一変して白法師狩りとなった。

 この日の真昼頃白法師は大岩の上に坐っていた。白衣、長髪、裸の足――昔に変わらぬ優しい微笑。
 彼の前には岩太郎がいた。彼は仲間の隙を窺
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