った。
「おおおお、お前達も寒かろう。さあさあ遠慮なく火にあたるがいいよ」

         二〇

 五匹の狼は尾を振りながら彼女の体へじゃれ[#「じゃれ」に傍点]ついた。すぐに突き飛ばされ意気地《いくじ》なくよろめいたが、一緒に小屋の片隅へ集まりそこへ穏《おとな》しく跪座《つくば》った。そうしてそこから焚火越しに山吹の顔を見守った。一人の女と五匹の狼。――それが一つの部屋にいる。……何んと恐ろしいことではないか。ところがちっとも恐ろしくない。それは山吹が窩人《かじん》だからで、窩人と獣とは親類なのである。
 熊も狼も狐狸も山吹にとっては友達であった。窩人部落にいた頃から彼女と獣達とは仲がよかったが、この木小屋へ来てからは一層両者は仲良くなり、多四郎の留守を窺《うかが》っては彼らは遊びに来るのであった。
 その夜一晩待ったけれど多四郎は帰って来なかった。
 翌る朝、彼女は小屋を出てそれとなくあっちこっち探してみたが恋しい良人《おっと》の姿は見えない。声を上げて呼んでも見たが答えるものは嵐ばかりだ。やがて夜がやって来た。夜中彼女は待ってみたがやはり帰って来なかった。また味気ない夜が明
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