し入れて、北山は小屋から外へ出た。
やがてこの日の夜が来た。
鏡葉之助は眼を覚ました。
そこは真っ暗の部屋らしかった。
葉之助の全身は弛《だる》かった。ひどく頭が茫然《ぼんやり》していた。手足の節々が痛かった。
「いったいここはどこだろう? 確かに自分の家ではない。……いつから俺は眠ったんだろう? ……一年も眠ったような気持ちがする」
彼は四辺《あたり》を見廻した。灯火《ともしび》のない部屋の中には、人のいるらしい気勢《けはい》もなかった。彼はじっと考え込んだ。
「……それでも漸次《だんだん》思い出す……俺は最初に女を助けた。女を送って屋敷へ行った。大槻玄卿《おおつきげんきょう》の屋敷だった。それから毒を飲まされた。それから地下へ埋められた。それから地下の横穴を通った。それから水狐族の怪殿へ行った。それからウント奮闘した。それから町へ飛び出した。それから根岸へ警護に行った。地上に例の白粉があった。それから俺は広場で眠った。ではここは広場なのか?」
彼は掌《てのひら》で探って見た。地面の代りに畳が触れた。
「いややはり家の中だ……それにしてもいったい何者が、いつ俺をこんな家
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