ってくれ」
「へえ、六両? どうしたので?」
「六匹みんな買い取るのさ」
「そいつあどうも困りましたねえ」
 若者は小判と北山の顔とをしばらくの間見比べていた。
「どうして困るな? 困る筈はあるまい」
 しかし若者は頭をかいた。
「どうもね、旦那困りますので。だってそうじゃありませんか、この白蛇は山男の物で、私の物じゃあございません」
「では何故一匹売ったんだ?」北山は叱るように声を強めた。「一匹も六匹も同じじゃあないか」
「いいえ、そんな事はありません。一匹や二匹なら逃げたと云っても、云い訳が立つじゃあありませんか」
「六枚の小判が欲しくないそうな」北山は小判を掌の上で鳴らした。「……死んだと云えばいいじゃないか」
「でも死骸がなかったひには」尚若者は躊躇《ちゅうちょ》した。しかしその眼は貪慾《どんよく》らしく、小判の上に注がれた。
「いや死骸ならくれてやるよ」
 北山は小判を突き付けた。「それなら文句はないだろう」

         二七

 若者は小判を手に受けた。
「どうしてご持参なさいます?」
「持って帰るには及ばないよ」
 北山は懐中から黄袋を出した。「食い合いっ振りが見
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