「蘭語でいうとエロキロスというのだ」
「へえ、エロキロス、変な名ですなあ」
「蛇は六匹いるようだね」
「昔は十匹おりましたが、今じゃあ六匹しかおりません。山男達の話によると、三匹がところ、盗まれたそうで」
「十匹で三匹盗まれりゃあ、後七匹いる筈だが、ここには六匹しかいないじゃあないか。後の一匹はどうしたね」
「ああ後の一匹ですか、さっき人が来て買って行きました」
「え?」
と北山は眼を見張った、「ふうむ、この蛇をな、買って行ったんだな」「へえさようでございますよ」「どんな様子の人間だったな?」「五十恰好の商人風、江戸の人じゃあありませんな。贅沢《ぜいたく》な様子をしていましたよ。田舎の物持ちと云った風で」
北山は黙って考え込んだ。腹の中で呟《つぶや》いた。
「今夜が危険だ。うっちゃって[#「うっちゃって」に傍点]は置けない」で彼は卒然と云った。「私《わし》にも蛇を売ってくれ」
「おやおやあなたもご入用なので」
「で、一匹幾らかな」
「さっきのお方は一匹一両で……」
「よし、私《わし》も一両で買おう」
北山は紙入れを取り出した。小判六枚を掌《てのひら》へ載せた。
「さあ六両、受け取
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