彼の勇気は恢復《かいふく》した。
 彼は猛然と立ち上がった。
 それから彼は追っかけた。
 教主達の姿は見えなかった。どうやら廊下を曲がったらしい。葉之助と狼と土佐犬とは、廊下を真っ直ぐに走って行った。と、廊下は右へ曲がった。葉之助も右へ曲がった。彼らの姿は見えなかった。廊下をズンズン走って行った。すると廊下は突き当たった。頑固な石壁が立っていた。
「はてな?」
 と葉之助は途方に暮れた。
「行き止まりだ。途《みち》がない。あいつらはどこへ行ったのだろう?」
 突然一匹の土佐犬が、一声高く咆吼《ほうこう》した。壁に向かって飛び掛かった。
 果然壁に穴が開いた。
 そこに開き戸があったのであった。
 犬はヒラリと飛び込んだ。
 同時にギャッという悲鳴が聞こえた。
 首を切られた犬の死骸が、ピョンと廊下へ刎ね返って来た。
 向こう側に誰かいるらしい。待ち伏せをしているらしい。
 犬達は喧騒《けんそう》した。つづけて二、三匹飛び込もうとした。
「叱《しっ》!」
 と葉之助は手で止めた。
 犬の死骸を抱き上げた。それを戸口から投げ込んだ。つづいて自分も飛び込んだ。
 二人の武士が立っていた
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