颯《さっ》と二人切り込んで来た。チャリンと葉之助は両刀で受けた。一人の刀をポンと刎ね、もう一人の刀を巻き落とした。寄り身になって横へ払った。ワッと一人が悲鳴を上げた。刀を落とされた武士であった。額から鼻まで切り下げられていた。
 ドンと武士はぶっ[#「ぶっ」に傍点]仆れた。狼と犬とが群がりたかっ[#「たかっ」に傍点]た。見る間に寸々に引き裂いた。
「えい」と葉之助は声を掛けた。すぐワッという声がした。もう一人の武士が切り仆された。
 犬と狼とが引き裂いた。

         一九

 葉之助は部屋を見廻した。
 それはまさしく閨房《けいぼう》であった。垂《た》れ布《ぎぬ》で幾部屋かに仕切ってあった。どの部屋にも裸体像があった。いずれも男女の像であった。
 多くの男女の信者達は、この部屋でお恵みを受けたのだろう。
 あちこちに脱ぎ捨てた衣裳があった。
 信者達は裸体で逃げ出したと見える。
 部屋部屋には一個ずつ香炉《こうろ》があった。香炉から煙りが立っていた。催淫薬《さいいんやく》の匂いがした。
 反対の側に戸口があった。
 葉之助はそこから出た。
 長い一筋の廊下があった。
 
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