った。
 人のなだれ[#「なだれ」に傍点]落ちる音がした。恐らく男女二人の教主も、なだれ落ちたに相違ない。
 松明の火が瞬間に消えた。
 どこにも人影が見られなかった。
 もう一頭の豹が屋根を越した。
 門の向こう側で悲鳴がした。喚声、罵声、叫声、ヒーッと泣き叫ぶ声がした。
 逃げ迷う人々の足音がした。
 ウオーッという豹の吠え声がした。
 三頭の熊が門の柱を、その強い力で揺すぶった。グラグラと門が揺れ出した。と、屋根の瓦が落ち、扉が砕けて左右に開いた。
 そこから熊が飛び出して行った。
 十数頭の狼が、つづいて門から飛び出した。その後から駈け出したのが、巨大な五頭の猛牛であった。と、三十頭の土佐犬が、葉之助の周囲を囲みながら、後陣《しんがり》として駈け出した。
 入り込んだ所は中庭であった、すなわち第一の中庭であった。
 そこで格闘が行われていた。
 それは人獣の格闘であった。
 人間の死骸が転がっていた。
 食い殺された人間であった。
 半死半生の人間もいた、ある者は掌《て》を合わせ、ある者は跪《ひざまず》き、助けてくれと喚《わめ》いていた。
 葉之助は用捨しなかった。
 猛獣が用
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