捨する筈がない。
 ムラムラと土佐犬は走り掛けた。忽《たちま》ち格闘が行われた。人間は見る見る引き裂かれた。一匹の犬は腕をくわえ、一匹の犬は首をくわえ、一匹の犬は足をくわえ、嬉しそうに尻尾を振った。
 向こうに一団、こっちに一団、取り組み合っている人影があった。熊と、豹と、狼と、取っ組み合っている人間であった。
 みるみる死骸が増えて行った。
 投げ捨てられた松明が、メラメラと焔《ほのお》を上げていた。
 百人余りの一団が、建物の方へ走っていた。教主を守護した信者達が、そこに開いている戸口から、屋内へ逃げ込もうとしているのであった。
 二頭の豹が飛び掛かって行った。数人の者が引き仆《たお》された。が、団体は崩れなかった。遮二無二《しゃにむに》戸口の方へ走って行った。三頭の熊が飛び掛かった。二頭の豹と力を合わせ、信者達を背中から引き仆した。
 殺された者は動かなかった。負傷《ておい》の者は刎《は》ね起きた。そうして団体と一緒になった。
 宗教的信仰の力強さが、そういうところでも窺《うかが》われた。教主を守れ! 教主を守れ! 食い付かれても仆されても、団体から離れようとはしなかった。
 猛
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