立つ枯葉のように、八方分身十方隠れ、一人の体を八方に分《わ》かち、十方に隠れて出没し! 敵をして奔命《ほんめい》に疲労《つか》れしめ、同士討ちをさせるがためであった。
 はたして信徒達は騒ぎ立った。風に木の葉が翻《ひるがえ》るように、百畳敷の大広間を、右往左往に逃げ惑った。
「裏切り者がいる! 裏切り者がいる!」
「一人ではない! 敵は多勢だ!」
「謀反人がいる! 謀反人がいる!」
 信徒同士組打ちをした。互いに斬り合う者もあった。松明《たいまつ》の火が吹き消された。ヒーッと女達は悲鳴を上げた。バタバタと倒れる音がした。器類がころがっ[#「ころがっ」に傍点]た。画像がべりべりと引き裂かれた。
「助けてくれーエッ」
 と叫ぶ者があった。倒れた信徒の体の上を、無数の人が踏んで走った。ムクムクと戸口から逃げはじめた。
 葉之助の策略は成功した。
 混乱に次いで混乱が起こり、収拾することが出来なかった。
「静まれ静まれ敵は一人だ!」
 心掛けある信徒でもあろう。一人の者が大音に叫んだ。ツ[#「ツ」に傍点]と葉之助は走り寄り、その叫び主を斬り落とした。
「灯火《あかり》を点けろ! 灯火を点けろ!
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