には、卑怯《ひきょう》と目《もく》して使わない。死生一如と解した時、止むなく使う寝業であった。
果然九人は一時に、足を薙《な》がれてぶっ倒れた。
飛び上がった葉之助、なだれる信徒の後を追い戸口の方へ突撃《ひたはし》った。そうして「面部斬り」――で斬り立てた。
胆を冷やさせる「面部斬り」――相手の生命を取るのではなく、獅子《しし》が群羊を駆るように、大勢の中へ飛び込んで、柄短《つかみじ》かの片手斬り、敵の顔ばかりを中《あた》るに任せ、颯々《さっさつ》と切る兵法であった。伊藤一刀斎景久が、晩年に工夫した一手であって、場合によっては刀を返し、柄頭で敵の鼻梁《はなばしら》を突き、空いている方の左手で、敵の人中《じんちゅう》を拳《こぶし》当て身! ただしこの術には制限があって、誰にも出来るというものではなかった。すなわち片手で自由自在に、大刀を揮《ふる》うだけの膂力《りょりょく》あるもの、そうして軽捷《けいしょう》抜群の者と自《おのずか》ら定《き》められているのであった。
で、もちろん封じ手で、印可以上に尊ばれ、人を見て許すことになっていた。
また一名「木の葉返し」とも云った。風に吹き
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