の勇気は百倍した。そうして彼は決心した。「殺されるか殺すかだ! これは生優《なまやさ》しい敵ではない! 助かろうとて助かりっこはない! 生け捕られたら嬲《なぶ》り殺しだ。……相手を屠《ほふ》るということは、俺の体に纏《まつ》わっている、呪詛《のろい》を取去《のぞ》くということになる。相手に屠られるということは、呪詛に食われるということになる。……生きる意《つも》りで働いては駄目だ! 死ぬ決心でやっつけてやろう! こうなれば肉弾だ! 生命を棄てて相手を切ろう! ……おおおお集まって来おった[#「おった」に傍点]な。……とてもまとも[#「まとも」に傍点]では叶わない。こうなれば手段を選ばない。あらゆる詭計《きけい》を施してやれ」
十人の武士が逼《せま》って来た。
やにわに飛び込んだ葉之助は、切りよい左手の一人の武士を、ザックリ袈裟に切り倒した。とたんに自分もツルリと辷り、バッタリ俯向《うつむ》けに床へ倒れた。
ワッと叫んだ残りの九人、乱刃を葉之助へ浴びせかけた。一髪の間に葉之助は寝ながら刀で足を払った。一刀流の陣所払い! 負けたと見せて盛り返し、一挙に多勢を屠る極意、しかし普通の場合
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