の神! 幸いの神! 男女の神! 子宝《こだから》の神! おおおお神様よ子宝の神様よ! どうぞ子宝をお授けください!」こう讃美する声なのであった。
ここは邪教の道場なのであった。ここは淫祠《いんし》の祭壇なのであった。
おお大江戸の真ん中に、こんな邪教があろうとは!
と、その時、忽然《こつぜん》と、音楽の音《ね》が響いて来た。
まず篳篥《ひちりき》の音がした。つづいて笙《しょう》の音がした。搦《から》み合って笛の音がした。やがて小太鼓が打ち込まれた。
……それは微妙な音楽であった。邪教に不似合いの音楽であった。神聖高尚な音色であった。
俄然道場は一変した。男は女から飛び離れ、女は男から身を退けた。いずれも一斉にひざまずいた[#「ひざまずいた」に傍点]。そうして彼らは合掌した。
「ご来降! ご来降!」と同音に叫んだ。
「教主様のお出まし! 教主様のお出まし!」
異口同音にこう云った。
次第に音楽は高まって来た。それがだんだん近寄って来た。やがて戸口の外まで来た。
しずかにしずかに戸が開いた。
深紅《しんく》の松明《たいまつ》の火の光が、その戸口から射し込んだ。
つと[
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