た。商家の手代、商家の丁稚《でっち》、役者、武士、職人、香具師《やし》、百姓、手品師、神官、僧侶……あらゆる階級の男達が、狂いあばれているのであった。
そうしてそれらの人々の上を、行灯の微光が照らしていた。
低い天井《てんじょう》、厳重な壁、出入り口の戸はとざされていた。
これを見た葉之助は驚くよりも、恐怖せざるを得なかった。彼は棒のように突っ立った。
「いったいここはどこだろう? いったいどういう家だろう? この人達は何者だろう? いったい何をしているのだろう?」
しかし彼の驚きは――いや彼の恐怖心は、しばらく経つと倍加された。彼は一層驚いたのであった。
さらにさらに恐怖したのであった。
と云うのはそれらの人々が、決して苦しんでいるのではなく、そうして何者かに幽囚されて、呪詛《のろ》い悲しんでいるのではなく、否々《いないな》それとは正反対に、喜び歌い、褒《ほ》め讃《たた》え――すなわち何者かに帰依《きえ》信仰し、欣舞《きんぶ》しているのだということが、間もなく知れたからであった。
呪詛《のろい》の声と思ったのは、実に讃美の声なのであった。
「光明遍照! 光明遍照! 喜び
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