手探りに探ってみた。どうやら石の階段らしい。
「いよいよ戸外《そと》へ出られるかな」こう思うと彼は嬉しかった。一つ一つ石段を上って行った。二十段近くも上った頃、木の扉へぶつかっ[#「ぶつかっ」に傍点]た。
「人家へ続いているのだな」意外に思わざるを得なかった。
彼は扉を押してみた。すると案外にもすぐ開いた。はたしてそこは人の家であった。人の家の一室であった。
そうだそれは部屋であった。しかも普通の部屋ではなかった。
それは非常に広い部屋で、畳を敷いたら百畳も敷けよう、行灯《あんどん》が細々と灯っていた。そうして縛られた女や男が、あっちにもこっちにも転がっていた。
呻く者、泣く者、喚く者、縛られたまま転げ廻る者、呪詛《のろ》いの声を上げる者、……部屋の内はそれらの声で、阿鼻《あび》地獄を呈していた。
人の類も様々であった。まず女から云う時は、町家の娘、ご殿女中、丸髷《まるまげ》に結った若女房、乞食《こじき》女、いたいけな少女、老いさらばった年寄りの女、女郎らしい女、芸妓らしい女、見世物小屋の太夫らしい女、あらゆる風俗の女達が、もだえ苦しんでいるのであった。
男の方も同じであっ
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