た。……山吹とそうして多四郎との子! 可哀そうな可哀そうな葉之助!」

         八

 観音堂への参詣を済まし、偶然《ふと》来かかった北山は、窩人達の話を耳にして「オヤ」と思わざるを得なかった。
「葉之助葉之助と云っているが、鏡葉之助のことではあるまいかな?」
 これは疑うのが当然であった。
 と、木蔭に身を隠し、次の話を待っていた。
「だが葉之助は偉い奴だ」老人の声がこう云った。「俺らの敵の水狐族部落を、見事に亡ぼしてくれたんだからな」
「そうだ、あの功は没せられない」合槌を打つ声が聞こえて来た。「あの一事で母親の罪は、綺麗《きれい》に償われたというものだ」
「噂によると水狐族めも、さすらい[#「さすらい」に傍点]の旅へ上ったそうだ」
「江戸へ来ているということだ」
「どこかでぶつからない[#「ぶつからない」に傍点]ものでもない」
「ぶつかった[#「ぶつかった」に傍点]が最後、戦いだ」
「そうだ戦いだ、腕が鳴るなあ」
「種族と種族との戦いだからな」
「種族の怨みというものは、未来|永劫《えいごう》解《と》けるものではない」
「だが、水狐族の部落の長《おさ》、久田の姥《うば》
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