」喘《あえ》ぎながらこう云うと、女は葉之助を撫で廻した。
「しっかりなされ、大丈夫でござる」葉之助は女を慰めた。「狼藉をされはしませぬかな?」
「あぶないところでございました。ちょうどお姿が見えましたので、やっとモギ放して逃げましたものの、そうでなかったら今頃は、……おお恐ろしい恐ろしい!」女はブルブル身を顫わせたが、「お送りなされてくださりませ! お送りなされてくださりませ! いまの悪者が取って返し、襲って参ろうも知れませぬ。つい近くでございます。お送りなされてくださりませ!」取り付いた手を放そうともしない。
「よろしゅうござる、お送りしましょう」葉之助は女を掻いやった。「で、家はどの辺かな?」
「愛宕下でございます」女は髪をつくろっ[#「つくろっ」に傍点]た。
「愛宕下ならツイ眼の先、さあ、おいでなさるがよい」云い云い葉之助は先に立ち、その方角へ足を向けた。
「それはマアマア有難いことで、もう大丈夫でございます」
「若い女子がこんな深夜に、一人で歩くということは、無考えの上にちと[#「ちと」に傍点]大胆、今後は注意なさるがよい」
若い女を助けながら、家まで送るということが、葉之助
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