すぐに後をつづけた。
「我々山男の身分について申し上げたいのでございます。私の名は杉右衛門、一座の頭でございます。一口に山男とは申しますが、これを正しく申しますと、窩人《かじん》なのでございます。そうして住居は信州諏訪、八ヶ嶽山中でございます。そうして祖先は宗介《むねすけ》と申して平安朝時代の城主であり、今でも魔界の天狗《てんぐ》として、どこかにいる筈でございます。本来我々窩人なるものは、あなた方一般の下界人達と、交際《まじわ》りをしないということが掟《おきて》となっておりますので、何故というに下界人は、悪者で嘘吐きでペテン師で、不親切者で薄っぺら[#「薄っぺら」に傍点]で、馬鹿で詐欺師《さぎし》で泥棒で、下等だからでございます……」
「黙れ!」
 と突然|桟敷《さじき》から、怒鳴り付ける声が湧き起こった。
「何を吐《ぬ》かす、こん畜生! ふざけた事を吐かさねえものだ! あんまり酷《ひど》い悪口を云うと、この掛け小屋をぶち壊すぞ!」
「そうだそうだ!」と四方から、それに和する声がした。
「そんな下界が嫌いなら何故下界へ下りて来た!」
「それには訳がございます。それというのも下界人の、憎
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