は案じるのだ、どうぞご次男金二郎様に、もしも[#「もしも」に傍点]のことがないようにとな」
「これは心配でございますな」
「今度の江戸の事件について、誰かもっと詳しいことを知らせてくれるものはあるまいかと、心待ちに待っているのだがな」
その時、襖が静かにあき小間使いが顔を現わした。
「江戸からのお飛脚《ひきゃく》でございます」
「江戸からの飛脚? おおそうか。いや有難い。待っていたのだ。すぐ裏庭へ通すよう」
「かしこまりましてございます」
小間使いが去ったその後で、天野北山は立ち上がった。さて裏縁へ来て見ると、見覚えのある鏡家の若党山岸佐平がかしこまって[#「かしこまって」に傍点]いた。
「佐平ではないか。ご苦労ご苦労」
「はっ」と云うと進み寄り、懐中《ふところ》から書面を取り出したが、
「私主人葉之助より、密々先生に差し上げるようにと、預かり参りましたこの書面、どうぞご覧くださいますよう」
「おおそうか、拝見しよう」
「次に」と云いながら山岸佐平は、また懐中へ手をやると小さい包みを取り出したが、「これも主人より預かりましたもの、共々《ともども》ご披見くださいますよう」
「そうであ
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