たして出るだろうか?
その夜も雪が降っていた。
傘《からかさ》を翳《さ》した一人の武士が静々と町を歩いていた。と、その後から覆面《ふくめん》の武士が、慕うように追って行った。
角町から三筋通り、辻を曲がって藪小路、さらに花木町緑町、聖天《しょうでん》前を右へ抜け、しばらく行くと坂本町……二人の武士は附かず離れず半刻《はんとき》あまりも歩いて行った。
その間、覆面の侍は、幾度か刀を抜きかけたが、前を行く武士の体から光物《ひかりもの》でも射すかのように気遅れして果たさなかった。
尚二人は歩いて行った。
木屋町の角まで来た時であった。もう一人武士が現われた。羅紗《らしゃ》の合羽《かっぱ》を纏《まと》っている。
羅紗合羽のその武士は、傘の武士と覆面の武士との、その中間に挟まった。
それと見て取った覆面の武士は、さりげなくそっちへ寄って行った。
一道の殺気|迸《ほとばし》ると見えたが、覆面の武士の両腕には早くも刀が握られていた。
「待て!」
と云う周章《あわ》てた声! 合羽の武士が叫んだのであったが、それを聞くと覆面の武士は、一歩後へ退いた。
「おお、あなたはお父上!」
「お
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