を打つ音が、夜の静寂《しじま》を貫いて変に陰気に鳴り渡る。
 何を造っているのであろう。
 とまた彼らは話し出した。
「莫迦《ばか》にゆっくりしているじゃないか」
「それは、最後のお別れだからな」
「齧《かじ》り付いているんだな」
「うん、そうとも、几帳《きちょう》の中で」
「百歳過ぎたお婆とな」
「どう致しまして、十七、八、水の出花のお娘ごとよ」
「アッハハハ、違えねえ」
 彼らは小声で笑い合い、ひとしきりコンコンと仕事をした。
「思えばちょっとばかり可哀そうだな」また一人が云い出した。
「若い身空を水葬礼か」
「それも皆んな心がらだ」
「俺らに逆らった天罰だ」
「湖水を渫《さら》った天罰だ」
「諏訪家の若殿頼正なら、若殿らしく穏《おとな》しくただ上品に構えてさえいれば、こんな目にも逢うまいものを」
「いい気味だよ、いい気味だよ」
 そこで彼らはまた笑った。
「……さて、あらかた棺も出来た」
「早く死骸《なきがら》が来ればいい」
 そこで彼らは沈黙した。
 これを聞いた葉之助はゾッとせざるを得なかった。
 彼らは頼正の死骸を納める棺を造っていたのであった。そうして若殿頼正は、今夜もこ
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