り上がったが、神殿へ颯《さっ》と飛び込んで行くと、木像の手から長槍をグイとばかりに※[#「てへん+宛」、第3水準1−84−80]《も》ぎ放した。

         二七

 ……「久田の姥を殺した刹那《せつな》、お前はまたも呪詛《のろい》を受けよう。恐ろしい呪詛! 恐ろしい呪詛! 不幸なお前! 不幸なお前!」
 背後の方から白法師がこう云って呼びかけるのを聞き流し、鏡葉之助が勇躍して山を里の方へ馳《は》せ下ったのはそれから間もなくの事であった。
 彼はただただ嬉しかった。
「憎い妖婆を討つ事が出来る。堕ちた名誉を取り返すことが出来る。呪詛が何んだ、呪詛が何んだ!」
 これが葉之助の心持ちであった。
「有難いのはこの槍だ。槍よどうぞ俺のために霊妙な力を現わしてくれ。魔法使いの久田の姥めをただ一突きに突き殺させてくれ!」
 これが葉之助の願いであった。
 足を早めてドンドン下る。
 途中で一夜野宿をし、その翌日の真昼頃、高島の城下に帰り着いたが、故意《わざ》と城中へは戻らずに、城下外れの旅籠屋《はたごや》で夜の来るのを待ち設けた。
 やがて日が暮れ夜となり、その夜が更けて深夜となった。審
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