「間もなくお前にも見えて来よう」
「種族の犠牲? 黒法師? ああ私には解らない!」
「水狐族! 水狐族!」白法師は卒然と云った。「これをお前は滅ぼそうとしてこの山中へ来たのであろうな?」
「仰せの通りでございます」
「窩人にとっては水狐族こそは祖先以来の仇なのじゃ」
「そのように聞いておりました」
「だからお前の仇でもある」
「それはなぜでございましょう?」
「やがて解る、やがて解る。……とまれお前はお前の属するある一つの種族のため、他の種族と戦わねばならぬ。水狐族どもと戦わねばならぬ。そうしてお前は久田の姥《うば》をお前の手によって殺さねばならぬ。これはお前の宿命だ」
「しかしどうしたら憎い妖婆を討ち取ることが出来ましょうか?」こう葉之助は不安そうに訊いた。
「あれを見るがいい。あれを見ろ」
 こう云いながら白法師は内陣の木像の持っている平安朝型の長槍を、手を上げて指差した。
「あの木像こそ他ならぬ窩人族の守護神《まもりがみ》じゃ。彼らの祖先宗介じゃ。窩人どもの族長じゃ。族長の持っている得物《えもの》をもって、他の族長を討つ以外には、妖婆を討ち取る手段はない」
 云われて葉之助は躍
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