《すまい》して、聖母マリヤと神の子イエスとを、守り本尊として生活《くら》したが、次第に同志の者も出来、窩人部落と対抗しここに一部落が出来上がり、宗教方面では天主教以外に日本古来の神道の一派|中御門派《なかみかどは》の陰陽術を加味し、西洋東洋一味合体した不思議な宗教を樹立したのである。そうして彼らの長《おさ》たる者は必ず久田の名を宣《なの》り、若い時には久田姫、老年となって久田の姥《うば》と、こう呼ぶことに決っていた。そうして彼らの長となる者は必ず女と決っていた。
彼ら部落民全体を通じて最も特色とするところは、男女を問わず巫女《みこ》をもって商売とするということと、部落以外の人間とは交際《まじわ》らないということと、窩人を終世の仇とすることと、妖術を使うということなどで、わけても彼らの長《おさ》となるものは、今日の言葉で説明すると、千里眼、千里耳、催眠術、精神分離、夢遊行《むゆうこう》、人心観破術というようなものに、恐ろしく達しているのであった。……
「ふうむ、そうか」
と葉之助は、写本を一通り読んでしまうと、驚いたように呟いた。
「容易ならない敵ではある。それに人数が多すぎる。一部
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