けていたが、殿のお出《い》でと立ちいでて恭《うやうや》しく式礼した。
「おお源兵衛か今日はご苦労」駿河守は頷いたが、「すぐに射手《いて》に取りかかるよう」
「かしこまりましてござります」
源兵衛がご前を退くと、忽《たちま》ち法螺《ほら》貝が鳴り渡った。
射手が十人ズラリと並ぶ。
ヒューッ、ヒューッと弦音《つるおと》高く的を目掛けて切って放す。弦返りの音も冴えかえり、当たった時には赤旗が揚がる。
鉦《かね》の音で引き退き法螺の音で新手《あらて》が出る。
番数次第に取り進んだ。
最後に現われた三人の射手は、印可《いんか》を受けた高弟で、綿貫紋兵衛、馬谷庄二、そうして石渡三蔵であったが的も金的できわめて小さい。一人で五本の矢を飛ばすのであった。
甲乙なしに引き退いた。
後には誰も出る者がない。今日の射法は終わったのである。
「これ葉之助」と駿河守は傍《かたわら》の葉之助へ声を掛けた。
「そちは剣道では一家中並ぶ者のない達人と聞くが、弓と馬とは弓馬と申して表芸の中の表芸、武士たる者の心得なくてはならぬ。そちにも心得あることと思う。立ち出でて一矢《ひとや》仕《つかまつ》れ」
「は
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