人間の生命が取れる。殺人《ひとごろし》をすることが出来るのさ。……此奴は何うだ、知ってるかな?」
 一つの花を指差した。白色粗※[#「米+造」、読みは「ぞう」、第3水準1−89−87、76上−15]の四弁花であった。
「いいや、知らねえ、何んで知るものか」
「教えてやろう、虎白草だ。採れた薬を五滴飲ませると、間違い無しに発狂する。……扨《さて》、ところで此花は何うだ? 知っているかな、え、若いの?」
 黄色い花を指差した。
 香具師は黙って首を振った。
「教えてやろう、山猫豆だ。採れた薬を眼の中へ注ぐと一瞬にして潰れて了う。……此花は何うだ? 知ってるかな?」黒色の花を指差した。
 香具師は返辞をしなかった。
「知る筈が無いさ、知る筈が無いさ、本草学にだって無いんだからな。これは西班牙《いすぱにや》の連銭花だ。何んと美しい黒色では無いか。花弁に繊毛が生えている。が、決して障っては不可ない。障ったが最後肉が腐る。それはそれは恐ろしい花だ。……ところであの花を何んだと思う?」
 金黄色の花を指差した。
 香具師は返辞をしなかった。気味悪そうに見ただけであった。
「俗名惚草という奴だ。採った
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