、日本侵略を心掛け、その工作に用いる金! そういう金ではあるまいか? これが一つの謎であった。
更にその後《のち》京都の地に、南蛮寺、即ち唐寺が建てられ、その五億円の黄金が、その唐寺の内に秘蔵されたそうだが、唐寺の何処に秘蔵してあるか[#「唐寺の何処に秘蔵してあるか」に傍点]? これが二つ目の謎であった。
そうしてこれら二つの謎を集め、総称して「唐寺の謎」と云い、その謎をひそかに解いた上、その黄金を手に入れようとして、織田信長や唐姫の徒や、香具師《やし》の猪右衛門や玄女たちが、苦心惨憺したのであった。
弁才坊事多聞兵衛は、吉利支丹そのものを邪法と認め、五億円の黄金は日本侵略の金と信じ、その金の在り場所を発見し、それを信長に告げ知らせ、その功によって家を再興しよう――こう思って唐寺の附近に住み、唐寺へ絶えず出入し、その才智と胆略とで、その黄金の在り場所を探り、謎をすっかり解いたのであった。しかしその秘密を紙などへ書いては、盗まれる憂いがあるというので、唐寺から窃取した薬品を以て、自分の胸へ焼きつけて、身を以て秘密を保ったのであった。
しかるに弁才坊は猿若によって、一時仮死の状態に
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