げんじょ》である。
森右近丸《もりうこんまる》に追いかけられ、処女造庭境まで逃げて来て、処女造庭境の人達に、捉えられて縛られてしまったのである。
ところで今はいつかというに、民弥が南蛮寺へ入り込んだ、そのおんなじ夜なのである。
「いつ迄縛って置くのだろう。どうにもこうにもやりきれないなあ」こう云ったのは猪右衛門。
「ほんとにほんとにどうする気だろう」こう云ったのは玄女である。
「とうとう人形も取られてしまった」
「犬さんが骨を折りまして、鷹さんに取られたというものさ」
「取った鷹さんはよかろうが、取られた犬さんはつまらない」
「その犬さんが私達さ」
「酷《ひど》い目にこそ逢いにけり」
「もっと酷い目に逢うかもしれない」
「もうこれ以上は御免だよ」
「どだいお前が悪いのだよ」玄女が猪右衛門をやっつけた。
「ううんお前がよくないのさ」
「ナーニお前がよくないのさ、と云うのは道草を食っていたからさ、人形を盗んだら大急ぎで、飛び帰ってくればよかったのに」
「と云うことが云えるなら、俺の方にだって云分《いいぶん》はある。人形はお前へ渡したはずだ、あの時サッサと逃げ帰ったら、こんな不態《ぶざま
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