われる、まず手はじめにすることは、捉えている娘を離すことだ、そうしてこっちへ手渡すがよい! そうして坐れ、土の上へ! そうして拝め、唯一なる神を!」
 こう云って威厳のある眼を以て、次々に賊共を睨んだので、賊共は等しく胆を潰し、民弥を放すと一同揃って、大地へひざまずいたからである。
 で、民弥は小走ったが、その老人の袖へ縋った。
「ああ貴郎《あなた》様はオルガンチノ[#「オルガンチノ」は底本では「オンガンチノ」]様!」
「民弥か、おいで、怖れることはない」
「はい有難うございます。どうぞお助け下さいまし」
 で、民弥とオルガンチノとは、門を潜《くぐ》って寺内へ入った。
 と、すぐにその後から、猿若少年が飛び込んだ。民弥を慕って飛び込んだのである。
 やがて門は内から閉ざされ、松火も隠れ音楽も消え、あたりは全く寂静《ひっそり》となった。
 だがもし誰か民弥達と一緒に、南蛮寺の寺内へ入って行ったなら、その寺内の一室から、民弥とそうしてオルガンチノとが、次のように話していることを、耳にすることが出来たろう。
「おお、まアそれではお父様が!」
「見られる通りの有様でござる」
「お父様! お父様
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