に、心も休も疲労切っていた。
「何人《どなた》かお助け下さいまし!」
救いの声を立てながら、ヒョロヒョロ逃げ廻るばかりである。
こうして民弥と猿若とは、せっかくここ迄は逃げて来たが、またもや人買の手にかかり、連れ戻されなければならなかった。
だがその時|松火《たいまつ》の燈《ひ》が、手近の森陰から現われて、五人の人影が足を早め、近づいて来たのは何者であろう?
見て取ったのは民弥である。追い廻す人買を突きのけて、一散にそっちへ走り出した。
「民弥めが逃げるぞ、追っかけろ!」
人買が後を追っかける。
27[#「27」は縦中横]
しかしその時には娘の民弥は、松火をかかげた一団の中へ、身を躍らせて飛び込んでいた。
「これは娘ごどうなされた」
こう云いながら見守ったのは、一人の立派な老女であった。他でもない浮木《うきぎ》である。そうして現われたこの一団こそ、例の庭師の一群であった。
「はい」と云うと娘の民弥は、クタクタと土へ崩折れたが、「妾《わたし》は京の片隅《かたほとり》に住む民弥と申す者にござります。人買の手にかかりまして……」
「なに、民弥? ほほう左様か、これは幸、よい
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