――掠奪、放火、米騒動の、恐ろしい事件が勃発した。
最初に暴動の起こったのは、霊岸島だということである。
ここはその霊岸島で……
今、一団の群集が、柏屋の裏口から走り出した。
五十人余りの人数である。
真先に立ったのは巫女姿のお久美で、点火した龕を捧げてい、御弊を片手に持っている。懐刀仕込みの御弊である。
白衣、高足駄、垂らした髪、ユラユラユラユラと歩いて行く。
傍に添ったのは市郎右衛門で、脇差を腰にさしている。
それを囲繞した五十余人が、東北の方へ走って行く。
大音に叫ぶはお久美の声で……
「おお信者らよ、教法を守れ! 破壊しようとするものがある! おお信者らよ、教法を守れ! ……有司の驕慢、幕府の横暴、加うるに天災、世は飢饉! 天父がお怒りなされたのだ! 恐れよ、慎め、おお人々よ! 天父をお宥め申し上げろ! ……続け、続け、我に続け! 浄土が見えよう、我に続け! 飢えたる者よ、我に来よ! 死したる者よ、甦るだろう! 病める者よ、癒されるであろう! ……食を見付けよ! 到る所にあろうぞ! 我に来る者よ、幸福であろうぞ! ……」
東北の方へ進んで行く。次第に人が馳
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