ろそろ目を覚さねえかな」
紫錦は気絶からまだ醒めない。グッタリとして仆《たお》れていた。髪が崩れて額へかかり、蝋燭の灯に照らされていた。
源太夫はじっと[#「じっと」に傍点]見詰めていたが、溜息をし舌なめづり[#「なめづり」に傍点]をした。
「だが親方はどうしただろう?」
もう一人の仲間が不安そうに云った。
「大丈夫だよ、親方のことだ、ヘマのことなんかやるはずはねえ」
「それにえて[#「えて」に傍点]物を連れて行ったんだからな」
「あいつ[#「あいつ」に傍点]ときたら素ばしっこい[#「ばしっこい」に傍点]からな」
二三人の仲間が同時に云った。
地下室は寒かった。蝋燭の灯が瞬《またた》いた。
「酒を呑みたいなあ」と誰かが云った。
「まあ待ちな、もう直ぐだ。なんだか知らねえが親方が宝箱を持って来るんだとよ」
「何が入っているんだろう?」
「小さな物だということだ」
「で、うん[#「うん」に傍点]と金目なんだな」
「一度にお大尽《だいじん》になるんだとよ」
「源公!」
と一人が呼びかけた。「ひどくお前は幸福そうだな。思う女を取り返したんだからな。……幸福って物ア直ぐに逃げる。今度
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