、この時代から怪異があったと、翁双紙《おきなぞうし》などに記されてある。本所七不思議のその中にも、毛脛屋敷というのがあるが、それとこれとは別物なのである。
百目蝋燭が地下の部屋の、一所に点っていた。
黄色い光がチラチラとだだっ[#「だだっ」に傍点]広い部屋を照らしている。
幽《かすか》ではあったが三味線の音が、天井の方から聞えてきた。
十四五人の人間がいる。
そうして気絶した美しい紫錦が、床の上に仆《たお》れていた。
22[#「22」は縦中横]
「ふん、こうなりゃアこっちの物さ。……三ピンめ、驚いたろう」
こう云ったのは源太夫であった。「だが案外手強かったな、唄うたい[#「うたい」に傍点]にゃ似合わねえ」
「坊主の六めどうしたかな」こう云ったのは小鬢の禿た四十年輩の小男であった。「三ピンめに一太刀浴びせられたが」
「ナーニ大丈夫だ、死《くたば》りゃアしねえ。死った所で惜しかアねえ」もう一人の仲間がこう云った。
「三ピンめ、さぞかし驚いたろう」源太夫は繰り返した。「よもや地下室があろうとは、仏さまでも知るめえからな。消えてなくなったと思ったろうよ。……紫錦《しきん》め、そ
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