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※[#歌記号、1−3−28]雁がとどけし玉章《たまづさ》は、小萩の袂《たもと》かるやかに、返辞《へんじ》しおんも朝顔の、おくれさきなるうらみわび……
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 安房守は立っていた。同じ姿勢で立っていた。それからまたも喋舌り出した。
「女ではない、男だな。しかも一流の太夫らしい。一流となれば大したものだ。政治であれ剣道であれ、遊芸であれ官教であれ、一流となれば大したものだ。もっとも中には馬鹿な奴もある。剣技精妙第一流と、多くの人に立てられながら、物の道理に一向昏く無闇と人ばかり殺したがる。この安芳《やすよし》をさえ殺そうとする。馬鹿な奴だ。大馬鹿者だ。今この安芳を暗殺したら、慶喜公の御身はどうなると思う。徳川の家はどうなると思う。俺は官軍の者どもに、お命乞いをしているのだ。慶喜公のお命乞いを。……俺の命などはどうなってもよい。俺はいつもこう思っている。北条義時《ほうじょうよしとき》に笑われまいとな。実に義時は偉い奴だ。天下泰平のそのためには、甘んじて賊臣の汚名を受け、しかも俯仰天地《ふぎょうてんち》[#「俯仰天地」は底本では「俯抑天地」]に恥じず、
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