師《こまし》に扮したもの、又は大工又は屑屋、後の二人は商人風に、縞の衣裳を着ていたが、いずれも鋭い眼光や、刀を左右に引き付けている様子で、武士であることが見て取られた。
 そうして彼らの真中に一葉の図面が置かれてあったが、他ならぬ千代田城の図面であった。
「これは浪士だ! 浪士の密会だ!」早くも察した小堀義哉は戦慄せざるを得なかった。
 浪士達の方でも驚いたらしく、互に顔を見合わせたが、
「これは人違いだ。本庄《ほんじょう》氏ではない」琵琶師に扮した一人が云った。
「貴殿は一体何者かな?」
「拙者は旗本、小堀と申すもの、人を迫っ駆けて参ったものでござる」義哉は正直に打ち明けた。
「実は空家と存じましてな」
「左様、ここは空家でござる。……幽霊屋敷で通っている。外桜田の毛脛《けずね》屋敷でござる」
 これを聞くと小堀義哉[#「義哉」は底本では「直哉」]は、「ああそうか」と思わず云った。天井から毛脛が下がって来て悪戯をするという所から、外桜田[#「外桜田」は底本では「下桜田」]の毛脛[#「毛脛」は底本では「下脛」]屋敷と呼ばれ、いつまで経っても住手のない家が、一軒あるという噂は、既に以前に
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