たかもしれない。
 義哉へ向かった破落戸達は、いずれも獲物を持っていた。そうして人数も多かった。無手であしらう[#「あしらう」に傍点]のは困難であった。そこで義哉も刀を抜いた。
 義哉は芸人ではあったけれど、武術もひととおりは心得ていた。しかし勿論名人ではなかった。とはいえ四五人の破落戸ぐらいに、退《ひ》けを取るような未熟者でもなかった。
 しかし彼の心持は、この時ひどく混乱していた。娘を助けなければならないからであった。
 彼は平和好きの性質からいえば、人を斬るのは厭であり、峯打ちぐらいで済ましたかったが、しかしそうはいかなかった。破落戸どもの抵抗は、思ったよりも強かった。
「チェッ」と一つ舌うちをすると、真先に進んで来た破落戸の右の手首へ斬り付けた。
 侍でない悲しさに、斬り付けられた破落戸は、ワーッと叫ぶと尻もち[#「もち」に傍点]を突いた。踏み込んで行って斬り付けるのは、容易なことではあったけれど、義哉はそうはしなかった。ビューッと刀を振り廻し、
「まだ来る気か!」と威嚇した。
 これは非常に有効であった。ワーッと叫ぶと破落戸どもは、手負い[#「手負い」は底本では「手負ひ」]の
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