たが小堀義哉は、にわかに興味に捉えられた。
 で、立ち上って隣室へ行き、袋戸棚の戸をあけて、杉の手箱を取り出して来た。それから仔細に調べたが、
「この箱は杉ではない」先づこう云って首を傾げた。
「杉でないと仰有《おっしゃ》いますと?」
「杉材としては持ち重りがする。鐡で作った箱の表皮へ、杉の板を張り付けたもので、しかも日本の細工ではない。支那製か南蛮製だ」
「マアさようでございますか」お錦も興味を感じてきた。
「ひとつ、開けて見ましょうかな。おおここに鍵穴がある。さて鍵だがお持ちかな?」
「ハイ、うち[#「うち」に傍点]にならございます」
「では明日にでも持って来て、ともかくも開けて見ましょうかな」
「そういうことに致しましょう」
 ここで話がちょっと切れた。
 もう夕暮《ゆうやみ》に近かった。庭の築山では吉野桜が、微風にもつれて[#「もつれて」に傍点]散っていた。パチッ、パチッと音のするのは、泉水で鯉が躍ねるのであった。
 何気なくお錦は庭を見た。往来と境の黒板塀にかなり大きな節穴があったが、そこから誰か覗いていると見えてギラギラ光る眼が見えた。
「あれ!」とお錦の叫んだ時には、もう
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