くれなかった。……だから俺らはやったん[#「やったん」に傍点]だ。……だが俺らには金はある。少しばかり考えを運ばしたら、どっさり金を儲けることが出来る。半分手に入れているんだからなあ。……永生の蝶っていう奴は、水の中ででも活きられるのだよ。……」
「お金がありゃア尚いいねえ。楽な生活《くらし》が出来るんだからねえ……ほんとにお前さんにあるかしら?」窺《うか》がうような調子である。
「少し考えを運ばせさえすれば、莫大な金が手に入るのさ」
「ねえ、吉次さん」と寄り添った。
「うん」と云ったが片足の吉次は、凝然と滝壺を見下ろしている。
ひん[#「ひん」に傍点]曲がった美しい劇的光景! それはこう云ってもいいだろう。一人は片足の醜男である。一人は妖艶な女賊である。それが互いにもたれ[#「もたれ」に傍点]合い、滝壺を覗いているのである。
大岩の背後には人声がする。戦闘準備の雑音もする。
だがここばかりはひそやか[#「ひそやか」に傍点]である。虹が相変わらず懸かっている。
五十三
その日の午後のことであったが、昆虫館の一室で、二人の老人が話していた。
「兄ごお前さんは不
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