泡立っている。日光が横から射しているので、滝の泡沫《しぶき》に虹がかかり、何んとも云えず美しい。
「そりゃアそうと、ねえ松代さん、俺《おい》らはお前さんが好きなんだよ」こんなことを云い出した。気恥ずかしそうなところがある。
「おや」ともう一度思ったが、松代は故意《わざ》と何気なく、「妾もお前さんが大好きさ」
「ふうん、何んだか解るものか」こうは云ったものの嬉しそうである。
「色気のないところが好きなんだよ」
「ところで俺らはお前さんの、見識張らないところが好きなのさ」
「見識張られる身分じゃアないよ」
「また俺らにしてからが、色気の出せる身分じゃアない」
「一緒にくらしたら面白かろうね」
「え」と云ったものの片足の吉次は、松代の顔を盗むように見た。「嬲《なぶ》っちゃアいけない。嬲っちゃアいけない」
「何んの妾が嬲るものか。本当のことを云ってるのさ」――だが嬲ってはいるようである。
「そうかなあ、そうかなあ」吉次は茫然《ぼっ》として考えたが、「俺《おい》らは醜男《ぶおとこ》で片輪者で、女に思われたことなんかない。俺らの方では想ったがな。でもその女は見高《けんだか》で、相手にしようともして
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