出た。
「桔梗様!」
と小一郎は、足もと定まらず追おうとする。
そこを背後《うしろ》から集五郎は、肩を目掛けてただ一刀!
それから一月の日が経った。女馬子の引く馬に乗り、一人の武士が旅をしていた。
四十六
秩父連山の中腹であり、武士は一式小一郎で、そうして女馬子は君江であったが、その同じ日に三浦三崎の方へ、八人連れの旅人が、事ありそうに歩いていた。
隅田のご前を前後に守り、七福神組の連中が、目立たぬ旅の装いをして、密《ひそ》かに歩いて行くのであった。
だがもし仔細に見たならば、大工や行商人や、修験者や、農夫や虚無僧や浪人者や、そういう者に身を※[#「にんべん+峭のつくり」、第4水準2−1−52]《やつ》した、二百人あまりの同勢が、無関心な様子はとりながらも、隅田のご前を警護して、先になったり後になったり、歩いて行くのに気が付くであろう。
すなわち英雄の俤《おもかげ》のある、隅田のご前が部下を引き連れ、三浦三崎の方角へ、密行しているものと見なければならない。
隅田のご前は例によって、悠々寛々たる態度をもって、弁天松代を相手とし、剽軽《ひょうきん》な口
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