「これでよろしい、方向《むき》をお変え! 芹沢を目指して一直線! 乗っ切れ、乗っ切れ、さあ乗っ切れ!」
 方向を変えた筏船は、帆鳴りの音を響かせて、しんしんしんしん[#「しんしんしんしん」に傍点]と走り出した。
 有髪の老尼は何者であろう?
 街道を走って行く尼の行列は、どういう身分の者だろう?
 もちろん今は解らない。
 とはいえ両者は味方らしい。
 そうして両者の行先は、芹沢の郷に相違ない。
 とにかく水陸呼応して、奇怪な尼僧の一団が、月の明るい更けた夜を、走り走って行くのである。

 ここは芹沢の郷である。七福神組の怪盗七人が、一ツ橋勢に遮られた。
 ドッとあがったは喊声である。一ツ橋家の武士どもが、同音にあげた喊声である。と、同時にキラキラと、月にきらめく[#「きらめく」に傍点]もの[#「月にきらめく[#「きらめく」に傍点]もの」は底本では「月にきらめ[#「にきらめ」に傍点]くもの」]があった。彼らの構えた太刀である。
 グ――ッと一列に押し列《なら》び、来い! 通さぬ! と構えたのである。
「先廻わりをされたよ、残念だねえ! しかしナーニびくつく[#「びくつく」に傍点]もの
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