小穴である。幽かな顫えを見せながら、杖の先が延びて行く。それの止まった正面に、両袖で顔を蔽い隠した、桔梗様の姿がうずく[#「うずく」に傍点]まっている[#「姿がうずく[#「うずく」に傍点]まっている」は底本では「姿がうず[#「がうず」に傍点]くまっている」]。それを黄金の杖で繋ぎ、向かい合って延々《のびのび》と立っているのが、女方術師の華子である。
 黒の道教の道服を纒い、真っ直ぐに立っている華子の姿は、太くて円い墨の柱が、一本立っているようであった。その頂上に白い物がある。仮面のように冷静な顔である。まくれ上がった唇から、上の前歯が露出している。鈍い銀色の真珠貝、そんなように見える二つの眼が、一点をじっと見詰めている。
「さあ桔梗様、両袖を、顔からお取りなさいまし」
 命ずるような声である、催眠性を持った声である。反抗することは出来ないだろう――そんなように思われる声であった。
「はい」
 と云ったのは桔梗様である。
 と、桔梗様は袖を取った。涙で洗われていよいよ益※[#二の字点、1−2−22]、可憐にも見え美しくも見える、桔梗様の顔が現われた。
「綺麗なお顔でございますこと」
 黄
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