後にあたって、ドッと喊声の起こったのは、いったいどうしたというのだろう?
 表門から走り出た、五、六十人の一ツ橋家の勢《ぜい》が、ようやくこの時追い付いたのである。
 ここに至って七福神組は、腹背敵を受けてしまった。
 と、数声弦鳴りの音が、背後にあたって聞こえたが、数本の征矢《そや》が飛んで来た。
 瞬間に上がった六本の太刀が、キラキラキラキラと閃めいたのは、矢を切り払ったためだろう。
 だが第二の弦鳴りの音! だが第三の弦鳴りの音! ひっきり[#「ひっきり」に傍点]なしに響くに連れ、唸りをなして飛んで来る征矢も、次第に繁くなって来た。
 背後から逼って来た一ツ橋家の勢が、打ち物業を故意《わざ》と避け、飛び道具で打ち取ろうとするのであった。
 それと察した弁天松代は、甲《かん》高く声を響かせた。
「さあさあみんな寝るがいい。一時息を抜こう息を抜こう!」
 声に応じて六人の部下達は、忽然姿を消してしまった。
 と云ってもちろん煙りのように、消えてなくなってしまったのではない。蒼茫たる月光を刎ね飛ばし、卍廻わりに廻わっていた、七福神組の群像が、一刹の間にバラバラに分かれ、地面へピッタリひれ伏したのである。
 桔梗様が地上へ寝かされている。傍に松代が体を伏せている。二人を中心に大円を描き、松代の部下の六人が、地面へ体を食っ付けている。で姿が解らないのである。
 が、一ツ橋家の武士達は、どうやらそうはとらなかったらしい。射掛けた征矢を一斉に喰らい、斃れたものと解したらしい。
 で、腹背の二手の勢《ぜい》は、ドッと喊声を響かせたが、思慮浅くムラムラと、七福神組へ走り寄った。
 待ち設けていたことである、弁天松代は飛び上がった。
「いい潮合いだ。やっつけろ!」
「それ!」
 と声を掛け合わせ、猛然刎ね上った六人の部下、「馬鹿め!」「くたばれ!」「思い知れ!」
 喚きを上げて飛び込んだ。
 で、太刀音だ! 仆れる音! 悲鳴に続く呻き声!
 と、バラバラと人の影が、四方八方へ別れたが、切り立てられた一ツ橋勢が、逃げて走って行く影であった。
 気勢に乗った七福神組は、追い討ちに後を追っかけたが、心配したのは松代である。
「長追いするな! 引き上げろ! 集まれ集まれ、一所へ!」
 しかし足音や喊声や、太刀打ちの音に遮られ、松代の声は通らなかった。
 六人の部下達は、追っかけ追っかけ、
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