て、恐らくこの女はそいつらの仲間の一人だな? こいつァどうにも逃されねえわい。で、どこまでもつけたってものさ。鶯谷で襲われっちゃった! うん、五、六人の野郎にな! 岡八だと名乗ると逃げてしまったが、根岸の方へ行ったらしい。で、不意に思ったものさ、ははあ、さてはお縫様屋敷に、悪い奴等はいるのだなと! そうして俺は思ったものだ、あの女はおとり[#「おとり」に傍点]だなと! 凄い程奇麗なあの顔で、若い男をそそのかしたら、どんな野郎だってついて行く、鶯谷でとっ捕まえてしまう! それから屋敷へ連て行くのさ、彼奴等の巣窟のお縫様屋敷へな。……で俺等行ってみた。森閑として人気がないとはいえ俺等考えたものさ。たしかに二十人はいるだろうとな! というのはほかでもねえ、さっき現れた人数を、大体のところ六人と見つもり、おっ[#「おっ」に傍点]振って出て来る筈はねえ、半数出て来たと仮に見ると、〆て十二人はいるだろう。そうして現在行方の知れねえ、若い男が八人ある。合わせて二十人になるじゃァねえか。が、それにしても人気がねえ。ナーニこれだって解釈はつく、それ地下部屋という、ありきたりのものを、勘定の中へ入れればな
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