差しを差した、精悍らしい若者達で、その数総勢で十人であった。
 花野を踏み踏み歩いて来る。しかしおおっぴらに歩けないのでもあろう、木立があれば木立に隠れ、灌木があれば灌木に隠れ、林があれば林に隠れ、森があれば森に隠れて、忍ぶがように歩いて来る。
「醍醐様そろそろ近づきました。なるだけご用心なさいますよう」
 一人の若者がこう云いながら、弦四郎の顔を覗くように見た。
「たかが山奥の住民どもだ、武芸の心得などロクロクあるまい。襲って参らばよい幸いに、この弦四郎みなごろし[#「みなごろし」に傍点]にしてやるよ」
 弦四郎は太々しくこんなことを云ったが、
「美しい娘があるということだの?」
「はいはい小枝《さえだ》と申しまして、美しい娘がございます」
「丹生川平の浪江殿と、どっちの方が美しいかな?」
「それを見る人の心々で、どっちがどうとも申されませぬ。二人ながら美しゅうございます」
「浪江殿に負けずに美しいというのか。ふうむ、それは素晴らしいの」と弦四郎は厭らしい笑い方をしたが、
「全く浪江殿はお美しい。ちょっと都にもなさそうだ」
「はいお美しゅうございます」
「性質はちと[#「ちと」に傍点
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