ござりますかな? ご存じならば仰せられるがよろしい。ただしこれだけは申し上げる。と云うのは今も申しました通り、拙者の行く先は高山から、十里はなれた地点でござる。どこでござろうな? どこでござろうな?」
で、老人の答えを待った。
「はい」と老人はその言葉を聞くと、いくらか眉をひそめたようであったが、
「高山のお城下を中心にして、十里離れた地点と申しても、いろいろの里や郷があります。どの方角へ十里でござりましょうか」
(それ見ろ)と茅野雄は笑止に思った。
(お迎えに来たの案内しようのと、いいかげんのことを云っていながら、俺の行く先を知らないではないか。――どうやらこ奴らは悪者らしい)
しかし茅野雄は云うことにした。
「どの方角だか俺《わし》も知らぬ。ただし地名は丹生川平《にゅうがわだいら》と云うよ」
――するとこれはどうしたのであろうか、老人の態度がにわかに変わって、一種の殺気を持って来た。
「丹生川平へおいでになる? どのようなご用でおいでになりますかな?」
「そこにの、俺《わし》の叔父がいるのだ」
「お名前は何と仰せられますかな?」
(何故こううるさく訊くのだろう?)
茅野雄は
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