。と云うのは、妾と父上とばかりが、関門をひらかせる特別の権利を、持っているからでございます」
恐ろしき予感
そこで浪江は先へ立って進んだ。
はたして関門が行く手にあった。
「ね、妾だよ。門をおあけ」
浪江は何気なさそうに声をかけた。
と、内側から男の声がした。
「ああお嬢様でございますか。……が、今頃何のご用で?」
「妾はおあけと云っているのだよ。……何の用であろうとなかろうと、お前には関係のないことだよ。……門をおあけ! ね、おあけ」
内側では考えているようであったが、やがて閂を外すらしい、軋《きし》り音《ね》が鈍く聞こえてきて、やがて関門の扉があいた。
内側に燈火《ともしび》があったと見えて、開けられた扉の隙間から、ボッと光が射して来た。
が、すぐ隙間から顔が覗いた。
「お嬢様、……背後《うしろ》におられるお方は?」
覗いたのは番人の顔であって、浪江の背後に佇んでいる、茅野雄に疑問をかけたのであった。
しかしその次の瞬間には、簡単な格闘が演ぜられていた。扉を押しひらいて内へ入った茅野雄が、組みついて来た番人の急所へ、あて身をくれて気絶をさせ、猿轡《さるぐつわ》
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