どうにも身長《せい》が届かなかったので、人々はドッと声を上げて笑った。とは云え笑ったそういう声にも、軽蔑らしい響きなどはなかった。
 笑い声が高く大きかったからか、小鳥の群が棹《さお》をなして、日光の明るいそこの空間を、斜めに矢のように翔《か》けて通った。

「幸福そうでございますな」
 ふと茅野雄は浪江へ云った。
「幸福なのでございますよ」
 こう浪江は答えはしたが、苦しそうなところが声にあった。
「偽瞞《ぎまん》であろうとカラクリであろうと、それが信じられているうちは、幸福なのでございますよ。あの可哀そうな業病人達は」
(偽瞞? カラクリ? 何のことだろう?)
 茅野雄には浪江の云った言葉が、審《いぶか》しいものに思われた。
(これもやっぱり洞窟の中の、内陣に置いてある何らかの物と、関係のある言葉に相違ない)
 で、茅野雄は押し強く訊いた。
「浪江殿、お話しくださるまいか。内陣には何がありますので?」
「…………」
 浪江は返辞はしなかったが、云いたいと努力しているようであった。
 二人は宛なしに足を運んだ。
 古沼の岸を巡って越し、灌木の多い境地へ出た。
 と、その時人の足音が、
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