そうして口々に叫び合ったが、すぐに手筈が行なわれた。
 まず一人の若者であったが、白河戸郷の方へまっしぐらに走った。危急を白河戸郷へ報告して、加勢を求めるためであろう。
 二人の若者は腰刀を抜くや、小枝が誘拐しに遭ったという、その方角へ疾風のように走った。
 残った一人の若者は、侍女達の介抱にとりかかった。

 が、一方、宮川茅野雄と、醍醐弦四郎とはどうしたか?
 茅野雄は上段に弦四郎は正眼に、構えをつけたままで睨み合っていた。
 その横では気絶をしているらしい、小枝を侍女達が介抱しているし、幾人かの侍女達は気絶をしてもいた。
 構えをつけながらも弦四郎は、恐怖を感ぜざるを得なかった。
(思ったよりも素晴らしい剣技だ。尋常に闘ったら俺の方が負ける)
 茅野雄の剣技の勝れているのに、弦四郎は恐怖を感じたのであった。
(どうしたらよかろう? どうしたらよかろう?)
 ――と、すぐに一つの考えが浮かんだ。
(丹生川平の奴原が、俺を見捨て走り去った。が、精悍の彼らである。よもや逃げて行ってしまったのではあるまい。丹生川平へ事件を知らせて、加勢を呼びに行ったのであろう。……おッ、そう云えば音が聞
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