るものは高く飛ぶ能《あた》わず。四足の未だ整わざるものは遠く行く事能わず。整えども、高く飛び遠く行くこと能わざるはこれ天なりとして止まん。己《おのれ》天下に深き恨み無しと雖《いえど》も慈父の憤りを継げるのみ。更に黄金《こがね》の鞭を取り銀《しろがね》の鞍に跨がり鼎《かなえ》を連ねて遇わんとするに非ず、いでや事成れば天が下の君とはなれずとも一国の主たらんとの古《いにしえ》の人の言葉慕うにたえたり」
みんな出鱈目でございます。私の本当の心持といえば板挟みになった苦しまぎれに同志の者達と心中をする――つまりこれなのでございます。
底本:「国枝史郎伝奇全集 巻五」未知谷
1993(平成5)年7月20日初版
初出:「サンデー毎日」
1924(大正13)年4月1日春季特別号
※「大刀」と「太刀」の混在は、底本通りです。
入力:阿和泉拓
校正:湯地光弘
2005年6月3日作成
青空文庫作成ファイル:
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